キダチアロエ切苗の育て方・植え方
日本の気候に馴染み、季節を選ばず植え替えが可能なアロエ。
しばらく植え替えをせずに丈が伸びて安定が悪くなった場合や、切り戻しをしたり、子株の株分けの際も同様の要領となります。是非キダチアロエ栽培には覚えておくとよいでしょう。
6〜7月の植え替えについて[ こちら ]をご覧ください。
なぜ植え替えをするのか?
限られた地域以外ではアロエは鉢植えで育てられている場合が多いでしょう。土の入れ替えは衣替えのようなもので、
他から栄養分の供給されない鉢植えの場合には、土壌の改善と、
水道水などの水遣りで塩素など土に蓄積しているものをリフレッシュし、アロエを心機一転若返らせる効果があります。
春先に行うと新しい根を即し、夏場の成長を促します。特に何年も放置してあるような場合や、アロエが痩せてきたような感じの場合には有効です。
葉をとって茎が伸びすぎてしまったり、やしの木のようになってしまった場合には、このような形で茎をきり戻します。
土に挿すと1〜2ヶ月で発根するので、アロエの型を整える効果があります。
キダチアロエの株分けはこの切苗で行うのがよいでしょう。茎の太さで1cm以上を目安に行うと良好です。
春先から梅雨前は子株を分けるにも良い時期です。分けた子株を観葉植物として寄せ植えするのもお勧めの楽しみ方です。
植え替えをしてみましょう
まずは陰干し
アロエの切苗はまずは陰干しです。
高温の地表などで乾かすと成長点が傷む可能性があります。4日~1週間、風通しの良いところで陰干しします。これによって発根がスムースになります。
陰干しについて:
土に挿さず、土の上に放置した状態でアロエがどれくらい生きていると思いますか?
私の見ている限り大抵1年は生きています。アロエの葉の95%は水分ですが、それほど保湿力が高く、生命力あふれる植物なのです。
根がなくても1年生き延びるくらいですから、ちょっと乾燥させて、水がほし~っ!! くらいになった方が根が出やすいのです。
キダチアロエの株分けは通常この切り苗で行います。茎の太さで1cm前後なら十分な太さですので、機会があれば試してみてください。
植栽用の土作り
腐葉土とかぬま土、赤玉など水はけの良い土を腐葉土2:かぬま(小粒がオススメ)8の程度で良く混ぜ、植栽用の土を作ります。
水はけがよければ他の土で代用してもかまいません。気になるようでしたら、鉢の底に小石を敷くなど排水に気を使ってください。
鉢を用意します
鉢植えの場合、下図のように真上から見下ろしてアロエが納まる大きさの鉢がベストといわれています。当方の切苗の場合は8号鉢サイズで大丈夫でしょう。
大きければ大きいほど良く育ち、小さすぎると根がぐるぐる巻きになって成長が止まります。木立の名のごとく、樹木状が本来の姿であるので、根が張ることで安定感も増します。
鉢に戻します
下図のように土を入れた鉢にアロエを挿します。このまま一週間から10日ほど水をやらずにおいた方が根の出がよくなるようです。
ぐらぐらしないように葉の付け根までしっかり挿してください。ぐらぐらする場合には竹の棒などを茎に沿って挿し、添え木として紐で茎をくくっておくといいでしょう。
通常の草花の場合には植え込んだらまめに水遣りですが、
アロエは葉と茎に十分な水分を蓄え、かつ蒸散をほとんどしないため、保水した水分で1年でも渇水で枯死することはありません。
発根の際にもこの水分を使うので外部からの水遣りは茎の根腐りなどを誘うこととなって逆効果の場合もあります。
3~5月の切苗による株分けならばひと月水遣りをしないくらいで発根がよいかと思います。
1〜2ヶ月で発根し、根が良く育てば子供アロエも顔を出します。
発根の確認
アロエの茎を軽くつまみ上へ引っ張ってみます。根が出ている場合にはガシっと土を捕まえているので容易に引き抜けません。
どうしても心配な場合には一度抜いて確認するのも根の出る様子が分かり良い方法とは思いますが、最低1ヶ月は抜くことを我慢しましょう。
根の出るサイン:切苗は植え込み後1ヶ月程度の間に葉が赤くなります。一時的に水枯れの状態になるからなのですが、葉の1〜2枚のエネルギーを使って発根させているのです。
葉が赤くなって最下部の葉が多少枯れてくる程度の状態で発根していると予想が出来るかと思います。おおむねその期間が1ヶ月ということです。
切り苗は水分が飛ぶまでは葉が赤くなったり、外周部の葉先が枯れてきたりしますが、発根の準備と思ってひたすら水遣りは我慢です。
中心部の葉が緑色なら株自体は生きていますので、一月くらい断水したほうが発根がよくなるくらいです。とにかく我慢。
ご不安な場合は、状況をお教え頂けましたらアドバイス差し上げます。
右の写真は切苗を植えて1年ほどしたものです。切り口が盛りあがって沢山の根が出ているのが見えます。
茎から小さな子供アロエが出ているのも分かるでしょうか。
アロエの成長に伴い鉢の中に根がぐるぐる巻きになってくるので、そのときには根を多少切って減らして植え戻す、などするといいでしょう。
きつくなった鉢で育てるとひょろひょろと背が高くなって不安定になってくる場合があり、葉肉も厚くなりません。じっくり茎を太く育て良いアロエを育てましょう。
アロエの育て方
ポイント
切り苗:とにかく根が出るまでは水を控えめに。葉が多少赤くなったり、外周部の葉が枯れてくることがありますが、
中心部の葉が緑色なら大丈夫です。葉が赤くなるのは根の出るサインと思ってください。半年無水でも渇水で枯死することは稀です。
根が出たあと、根つきアロエの植え替え後:
1. アロエの様子がおかしい、茎が折れた:梅雨時:日中に気候を閉鎖して水分の蒸散を防ぐアロエは夏の高温多湿は苦手です。
気温が25度を越え、かつ長雨が続くようですと鉢植えの場合は水分過多になってきますので軒下や少し雨のあたりにくい場所に退避してあげるとよいでしょう。
屋内の場合には関係ありません。
2. 屋内で育てたり水遣りをして早く大きくしたい場合には、通常数日に一度、夏場は毎日でもよく与えるならば夕刻、冬場は週に一度土が湿る程度の水遣りをすればよいでしょう。
屋外の場合にはお天気まかせでも特に気にすることはないでしょう。アロエの葉の保水力は比類なきものです。屋外においては渇水による枯死の心配はほとんどありません。
※)キダチアロエはもともと数十年をかけて4mにもなる樹木状アロエです。高温と灌水で促成はできますが、茎が太くなるには時間がかかるので、促成ものは茎が細く不安定になりがち。
時折ご質問をお受けする、茎が折れるなどの事は、この促成が原因である場合も多いようです。
温室隔離、加温、灌水で促成すると葉が薄くなるのはアロエが進化によって得た成長プロセスと異なるからです。ご自宅ではのんびりがっしりとアロエ本来の性質を引き出す事をお勧めします。
屋外・屋内ともに3-4ヶ月に一度、固形肥料なら3-4粒、油粕などの肥料ならばひとふり、液肥ならアンプル1本を与えておくと育ちがよくなります。多肥は根腐れの原因となるので与えすぎは禁物です。
アロエ栽培において注意する時期(季節)とよくあるご質問
1. アロエの様子がおかしい、茎が折れた
梅雨時:日中に気候を閉鎖して水分の蒸散を防ぐアロエは夏の高温多湿は苦手です。
気温が25度を越え、かつ長雨が続くようですと鉢植えの場合は水分過多になってきますので軒下や少し雨のあたりにくい場所に退避してあげるとよいでしょう。屋内の場合には関係ありません。
2. 中心部の芽が取れた、葉がバラバラになってきた。
真夏:アロエの水遣りを夏場夕方とあるのには意味があります。アロエはその形から中心部に水がたまりやすく、
炎天下に真上から水を与えるとこの水が熱せられて成長点が煮えてしまう場合があります。
この場合、アロエの葉がばらばらと取れて枯死する場合があります。炎天下での真上からの水遣りは控えましょう。
炎天下の場合には水遣りは夕刻または早朝、気を使うなら真上からかけず、茎の周りに湿らすように与えてみましょう。雨は気温ごと下がるので屋外でお天気任せの場合には問題ありません。
3. 葉先が枯れる、葉が赤くなる
氷点下・霜・積雪はアロエの天敵です。室内に退避してください。この時期はアロエの葉が赤くなるのだけれど大丈夫でしょうか?というご質問をよくお受けします。
葉先は枯れるかもしれませんが、一時的な紅葉みたいなもので暖かくなればまた青々としてきます。多少葉先が枯れることは原生地でもよくある事で、
自生のアロエの写真などでは葉先のちぢれているものが多く見受けられます。葉がぐんにゃりととして変色する場合には、凍結した場合ですので、
この場合には当該部位を切除すればいいでしょう。アロエの中心部が生きていればまた新しい葉が育ちます。数年雨が降らずとも生き延びるサバイバルに特化した植物ですので、
かなりワイルドな生態となっています。
4. エアコンの室外機の直風のあたる場所に置いておいたらしなびてしまった
夜間、気孔を開いて二酸化炭素を吸入するアロエですが、室外機の直風などにあてておくと、夜間のエアコンの乾いた風に水分が余計に蒸散してしまい、葉がしなびてしまう場合があります。
室外機の直風のあたる場所は避けましょう。冬季はひからび夏は煮えます。
5. キダチアロエを生で食べてもいいでしょうか?
多量に食べるとおなかが緩くなりすぎる場合がありますので、食べ過ぎなければ全く問題ありません。灰汁を煮出して食べると良いという方もいますが、科学的根拠のない事です。
灰汁は有機酸類なのですが、すべての野菜に含まれているものです。固有の栽培農場におけるアロエのことでしょう。アロエは加工度が高いほど失うものも多いといわれ、
生食が最も良いというのが定説です。